パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

到着するなり左ジャブと右ストレート

[2018年10月15日]

5:00 - 15:30 埼玉の自宅 - 摩周駅

 

1日目の日程:
 東京(羽田) - 釧路空港 飛行機
  7:45 - 9:25 
 釧路空港-釧路駅 バス
  9:50 - 10:30
 釧路駅-摩周駅 電車
  14:14 - 15:30

ところで、秋の北海道の普遍的かつ最大の懸案といえば、わたくし的個人的にはなんといっても「天気」です。秋は特に北海道あたりをいい感じで台風が通過してくんですよね。とりあえず1-2日くらいの雨ならなんとかなるかもしれないのですが、台風こられたら川下りどころではありません。

 ということで、数日前から道東の天気予報を気にしていたのですが、なめ切った態度でシーズンオフ北海道に臨み出発前からけちょんけちょんにやられてしまった私をいろんな神様が哀れに思ったのか、とりあえず滞在中は晴れとか曇りマークが並ぶ予報になってました。

 ということで、行きの飛行機も問題なく飛び、無事釧路空港へ。
 
 ところでわたくし、もともと国内線滅多に乗ることがないのですが、AIR DOってANAと提携していて、特に北海道の地方空港はコードシェア便が多くANAで予約してもAIR DOで予約しても、結局AIR DO運航になるようですね。AIR DOの事前割でかなりお得に乗れた割には実質ANA扱いで少しホクホク(?)な気分を味わいました。逆に少し戸惑ったのが、羽田での手続きもANAの窓口でOK、というところ。最初、羽田のカウンターで一生懸命AIR DOの窓口を探し、ANAの巨大なカウンターの奥の奥のほうにあるゴミみたいに小さいスペースにあるAIR DOのカウンターにいったら、「ふつーにANAでチェックインしてください」と言われ心底がっかりしました。あとついでに、ANAの搭乗には「Skip」というカウンター手続き不要で直接ゲートに向かってOK、という仕組みがあるらしいのですが、どうせ手荷物預けするんだし意味ねーじゃんと思ってたら、なんと今の羽田には手荷物自動預かりマシーンのようなものがあるんですね。オノボリさんまるだし状態でした。
 
 で、釧路空港から市内へのシャトルバスの乗り継ぎ。これは飛行機の便数が少なく乗降客も限られてることから、すべてのバスが飛行機便に紐づけられてて、バスもちゃんとそれっぽいお客が全員乗るまで待っててくれてて、便利です。空港から市内まで900円少々、1時間弱。ちと高いしちと遠い気もしますが、実際30kmちょっとあるみたいですし、まあそんなもんなんでしょう。バスからの車窓は、早速牧場っぽい景色や、よつば牛乳の工場、さびれたバイパスの景色などが見え、早くも旅情を盛り上げます(?)。

 で、釧路駅到着です。10:30についてしまいましたが、予定の電車は2時過ぎのしかありません。覚悟はしてましたがさっそく公共交通機関の移動の宿命、「暇つぶし」の洗礼にあいます。とりあえず、事前に皆様の旅行記を読んで行くことを決めていた、和商市場というところに行ってみました。

www.washoichiba.com

 結論から書きますとここは失敗です。そもそも「勝手丼」という、自分で具材を選んでどんぶりをつくるはずのものに、クーポンなど配布している時点で危険を察知するべきでした。店に入るなり、生きのいい市場の店員さん風の実質客引きのかたにいいように案内され、作らされたどんぶりが写真のものです。これで割引きかせて1800円。はっきりいって、うちの家の近所にある角上魚類で食材を購入して自作したほうが鮮度、値段、味とも上です。

www.kakujoe.co.jp

 お客さんも中国語圏の皆様が多く、10時過ぎからビールをお飲みになったりしていて正直あまり風紀もよろしくない感じでした。だいたい、北海道の秋の市場なのに、鮭関係もほとんどなかったのはなぜなんでしょうね。ただ、一部の区画だけ、名前不明の魚がドドーンと置かれていて、明らかに地元のお客さんがクラウドになっているところもあったので、わずかながら地元の市場の機能も残っているし、そこで売っているものは美味なのだろうと予想しました。まあ、ソロの旅行ではとても買えなそうな食材でしたけどね。

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 とはいえ、大半の釧路駅利用の皆様は乗り換えで時間持て余すでしょうから、からかいがてらに訪問してもいいんじゃないですかね。レンタカーのかたは...まあ、その、(察し)ですね。
 
 さて、昼飯を10:30に食い終わってもまだ3時間暇ですので、しかたなし、ロッカーにザックを預かてそこいらへんを散歩してみました。
 
 うむ、何もない。というか寂れっぷりが半端じゃない。これで道東の中枢都市なんですかね。駅から徒歩数分でもシャッター商店街だらけです。せめてスマホ充電だけでも、とタリーズとかフィッシャーマンズワーフとかいうあたりまでさまよってみたのですが、いい場所なし。結局駅の構内の地元チェーン店っぽいパン+コーヒー屋に落ち着きました。店員さんに断って充電もさせてもらえました。これだけやってもまだ時間は12時過ぎ。

 あれですね。待つのも旅情、とかいいますが、個人的には1時間が限界です。
 車移動に慣れると10分のロスでももったいなく感じるわたくしですので、やはり電車+バス旅行は、よほどのことがない限り今後も選ばなそうです。
 
 そうそう、ここ釧路駅でもまた、シーズンオフの釧路に軽く左ジャブ&右ストレートを食らったんでよね。ふと壁の時刻表を見ると、12時過ぎに釧網本線の電車が一本あるじゃないですか! もう出発まで数分! 慌てて切符を買って、改札まで向かってみたのですが、ホームを眺めてもそれっぽい車両が一つもない。始発駅のはずなのに。不思議に思って駅員さんに聞いてみたら、

「あー、あれはトロッコ列車ですよ。10月8日で運航終わってます。」

 またか! やるな釧路。しかしこれはほんのジャブ。

 右ストレートは、その後の実際に乗った電車。ようやく到着した釧網本線網走行き。予想通り、1車両のみのディーゼル車、レールバスというやつですね。これは「The 旅情」だな、これこれ、こうでなくては...と思いつつ乗り込み、向かい合い座席にどっかと座って早くも鉄道旅の気分満喫。窓ガラスが2重なのがまた、冬の厳しさを想像させます。

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 という時間は5分で過ぎ去りました。なんと、まさかと思っていた、釧路駅構内にたむろしていた、中国語圏および日本語圏の団体の皆様が、あろうことかこの1車両のみのレールバスに乗り込んできたのです。当然1車両しかない車内は、座れないどころか下手すると押し込まれないと乗れないくらいの大混雑に。
 
 賢明なる読者の皆様はすでにお気づきだと思うのですが、先に書いたトロッコ列車がこれの元凶っぽいですよね。通常期はトロッコ列車を期待してくるというか日程を組んでるツアーが、この時期はトロッコ列車が運休してしまうのでやむを得ずふつーの列車に押し込む、という感じですかね。いやいや〇ラブツーリズムさん、せめて海外からのお客さんはバス出してやりなさいよ、と思うのですが、どうもこの釧路湿原というのは車道からの眺めはいまいちで、なんといっても本格的にみるなら鉄道! みたいな触れ込みがあるらしく、それならまーしかたねーか、と日本語圏の皆様も中国語圏の皆様もこちらにいらっしゃってるようです。ていうか中国語圏の皆様はそれはそれで面白いらしく、早速LINEでキンコンキンコンやり取りしてました。(つまり中国とか香港の人でなく、台湾の人っぽいですね) わたしはまあ別に椅子に座れてますので、車窓さえ見てれば車内は特に気にならないですが、他の皆様はどうなんですかね。ということで、オフシーズン釧路旅行のBest Known Method(既知の最善策)、略してBKMとしては「電車は付いたら即、席を確保」ということになります。

 で、満員のお客を載せてレールバスは出発です。
 
 いや、これが実際、旅情満載なんですよ。数分もしないうちに街並みは消え、This is 北海的な牧歌的な雰囲気になり、そしてそう時間もたたないうちに、湿原っぽい景色に変わっていきます。近くにお立ちになっている中年の夫婦のかたの会話が、「そろそろ釧路川と並走するはずだよ」とか「このへんから湿原が見えてくるはず」とかいろいろ勝手にガイドとして聞こえてきます。奥様のほうが「何も生き物いないじゃない」とか「もう熊とタンチョウはたくさんみたからいいわよ」と妙に冷めているのが気になりますが。「これはあれだね、川をカヌーで下らないと満喫できなそうだねえ」「そうねえ」みたいな会話も聞こえてきます。むふむふ、わたくしはその満喫コースだぜ、と一人でほくそ笑んでおりました。
 
 で、その団体の皆様は、途中の「塘路」というところで下車。やはりトロッコ列車の折り返し地点のところがツアーの皆様の目的地だったようです。ここは私の後日のキャンプ地にもなるはずです。
 
 そしてようやくここから、車内はシーズンオフの寂れたローカル線の景色そのものになり、がらがらの車内と車窓のエゾシカやらタンチョウやら西日に輝く湿原やら、Every Single Minuteがいちいちフォトジェニックな光景が展開されるようになりました。これ、なんで秋の観光名所にならないんでしょうね。JR北海道さん、減便している場合じゃないですよ。
 
 ということで、無事目的の摩周駅に到着です。
 そうそう書き忘れました、日程は前回も書いた通り、この日に屈斜路湖までたどり着くのをあきらめて、道の駅摩周温泉付近にベースキャンプを構え、翌日は屈斜路湖経由釧路川源流下りの、山登りでいうところの「ピストン」日程にすることにしました。
 
 月 釧路空港→摩周大橋泊
 火 摩周大橋→屈斜路湖/釧路川→摩周大橋泊
 水 摩周大橋→標茶ポーティング(休息日)
 木 開運橋→塘路湖
 金 塘路湖→細岡

 ということでこの日は摩周駅から摩周大橋まで移動なのですが、長くなったので続きは次回に。