パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

ヒューマンドラマなバスで移動

[2018年10月16日]

摩周大橋 - バス営業所 徒歩
阿寒バス摩周営業所 - 和琴半島 バス
 6:45 - 7:20
和琴半島 - 摩周大橋 船で適当に夕方までに

 皆様の期待を裏切り(?)、熊などの夜襲を受けることもなく無事2日めの朝を迎えました。北海道の10月ということで、関東の厳冬期くらい寒いのかとも思いビビってましたが、別段テントがバリバリに凍りついたりすることもなく、モンベルのダウンハガーのおかげもあってとてもよく寝られた感じです。とはいえ小心者のわたくしは、早朝便のバスに乗り遅れてはいけないと気をもむと、目覚ましも鳴ってないのに無駄に早朝に目がさめてしまいます。直近の天気予報をみると週間予報から一転、微妙に傘マークもついたりしていますが、とりあえず空を見上げた限りでは晴れ間が見えていてまずまずな空模様、といった感じです。

 そうそう、書き忘れましたが昨日の到着時から飯を食い、就寝して朝飯を食べるまで、虫のたぐいはほぼ皆無。唯一、ザトウムシといわれる足の長いクモが、気づくとあちこちにいる程度でした。特に夏に釧路川を下っている皆様は口を揃えて蚊やアブの攻撃がすごかったと書かれていたので、そういう意味では秋はOne of the best seasonと言えると思います。

 あと、ここを幕営地とすることのメリットは、温泉やスーパーが徒歩圏ということ以外に、初日の源流部下りに全荷物を持っていく必要がない、ということですね。テントや寝袋をおいていけるし、撤収や再設営の手間も省けるし、なにより沈してしまったときの荷物濡れの心配がありません。まーとはいえ、あとで書きますが普通に和琴半島に泊まれるならそっちを選びたかったですけどね。

 そんなこんなで、朝飯のパン、コーヒーなどを適当にすませ、さっさと幕営場所をあとにしてバス停に向かいます。昨日は日没に急かされ近所を見て回る間もなかったので、今日は少し余裕をもった日程で歩きだし、皆様が書かれている「なんだろう橋」なんかも見学していったりしてみました。たしかに「ここから先カヌー禁止。発見次第、すみやかに射殺。(嘘です)」的な横断幕が掲げられてました。そして弟子屈の街の中を歩き抜けていきます。あちこちにうわっている小さなもみじが朝焼けに映えて美しいです。その一方で、大半の旅館が廃墟で、なんだかゴーストタウンを歩いているよう。ちなみにこういうゴーストタウン化は、釧路市内でも見かけましたが、今後あちこちでみることになります。

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 ゆっくり歩いて20分くらいでバス停に到着。早くつきすぎたのでまだ運転手さんも来てなかったのですが、営業所のおばちゃんはいたので一応和琴半島行のバスが普通に出ていることを確認。だいじょうぶ、動いているそうです。ちなみにさすがシーズンオフなのか、早めについてバスを待っている人など皆無でした。

 で、運転手さんがよっこらしょっとバスを営業所の前につけ、乗車。すると、事前に聞いてはいましたが、小学校のスクールバスを兼ねているこのバス、つぎつぎと小学生が「おはようございます!」と乗り込んできます。よくわからないんですが、弟子屈町内にあるこのバス停、徒歩圏の弟子屈中心部に立派な小学校があるにもかかわらず、遠く離れた和琴半島の近くの小学校に通う皆さんのようです。まあ冬の雪がすさまじいこの地域では、徒歩で近いことよりもスクールバスのルートに近い方を重視するのかもしれませんね。

 そしてなぜか出発間際に、明らかに場違いな(失礼)若くて容姿端麗なおねいさんが1名、長々と運転手さんとお話したあと乗り込んできました。話を盗み聞きするに、どうもこの学校の先生のようです。なんといいますか、われわれの世代ですと小学校先生=はるか上の世代の人、という感じで少なくとも仲良くする感じではなかったように思うのですが、聞こえてくる話はどうにも友達同士のような調子ですよね。おねいさん先生が(22)で最年少かと思っていたら、外国語の先生が(21)で実はもっと若かったとか。おっと、このへん個人情報ですかね。

 そんな話が流れてきながらバスは出発。バスはすぐに郊外のバイパス風の道になってしまいますが、「こんなところになんかあるのか」というところで止まっては小学生を拾っていきます。よくよく見るとたしかに砂利道の100mくらい先にぽつんと一軒家があったりします。そして、いちいち親御さんが見送るんですね。まあふつーにそういう決まりなだけなのかもしれませんが、なかには100mくらい先の家の軒先から、「飛行機の誘導をする人(マーシャラー)」なみにすごい勢いで手を降る人もいたりして、なんだか心のそこからほのぼのとしてしまいます。わたくしなんて、たまの在宅勤務の日に子供を小学校に送り出すときなんて、さっさと出てけくらいの勢いで玄関に蹴り出したりしていましたよ。もう少し、ここいらへんの皆さんの行いも参考にしないとですね。といいますか、この子供たち、この先生、この親、これだけで1クールぐらいのヒューマンドラマ、笑いあり涙ありで視聴率10%! (死語)みたいなの作れそうです。

 などとくだらないことを思っている間にいつの間にかバスは屈斜路湖カルデラに突入です。雨上がりの空、朝日、紅葉、のベストスタッフ。

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 文才がないのでありきたりの言葉しか並ばないのですが、山の錦とたなびく雲、こういう美しさというのは日本人にしか共感できない美意識なのかもしれません。なんといいますか、つくづく写真で見て満足するのでなく、自分が実際にいって体感しようと思いました。生きている間にもっと貪欲に綺麗なものを見に行こうと思いました。ポエミーです。

 で、バスは一度和琴半島を通過して、プリンスホテルの先あたりUターンして、和琴半島キャンプ場へ。ここでわたしだけ降りて、ヒューマンドラマな小学生御一行とはお別れです。いよいよ湖畔から、パックラフトで出港です。