パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

和琴半島の「地獄」は必見

 [2018年10月16日]

7:30 - 9:00 和琴半島

さて、バスから降りたところは、普段はかなりの観光地しく、広大な駐車場が広がってます。さらに、右奥には最近はやりの「グランピング」という言葉が似合いそうなゴージャスで真新しいキャンプ場というかコテージ群というか、わたくし的には直感的に近寄っては行けないオーラを発しているエリアがあり(最近リニューアルした和琴野営場だそうで)、自然と体が反対の左奥に進みました。するとそこは例の冬季閉鎖の和琴”湖畔”キャンプ場というか、砂浜が広がっている湖岸でした。そのまま砂浜を半島の先端の方にガツガツと歩いて行くと、うわさの無料混浴露天風呂を発見。そしてなんと、テントを張っているキャンパーも! なんだよ、キャンプしている人いるじゃん!!!

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和琴半島とキャンプしている人たち。

 と思ったのですが、接近してよくよく観察してみると、聞こえてくる会話からどうも釧網本線以来の中華圏のお客様であることが判明。おそらくなんらかのネット情報をもとに先走ってテント持参で和琴半島まで来てしまったものの、予想外のキャンプ場冬季閉鎖で困ってしまい、やむを得ずキャンプしちゃった、という感じですかね。まあ日本人の私ですら、ネットで調べても情報がなく、電話してようやく出発直前に気づいたくらいですから、しょうがない事象ですね。まあ言い訳もあるでしょうし、それと引き換えに他のお客ゼロの紅葉&温泉の和琴半島ナイトを満喫できたわけですから、満足して帰られることでしょう(?)。

 そして個人的にはなんともうらやましい。たしかに摩周大橋ピストンもメリットはあるのですが、正規のキャンプ場に泊まれれば焚き火もできるし水場、トイレもある。(冬季閉鎖ですが) 雰囲気が抜群の露天風呂もあるし、それになんと行っても湖畔からスタートできれば、早朝に半島一周をさっさとやっつけてしまい、7:20の折り返しバスにのって半島から釧路川の出発地点までポーティングできます。いやー、徒歩4kmはなかなかしんどいですよ。

 なにはともあれ、台湾な皆様を横目に、さっそうと(自称)パックラフトを広げて出港準備開始。今日は幕営荷物はないので、船を膨らませて着替えてライジャケ装着すれば完了です。バスで到着してから30分も立たないうちに、いざ出港! 地元の彩湖で試しこぎして以来、初の本格的な出港です。(無謀) 

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和琴半島から出港。

 水は、噂通りのなかなかの透明度。最初は一応慎重に、湖岸からさほど離れないルートを進みますが、水深2-3m程度と思しき湖底までばっちり透き通って見えます。また、それと対比的な半島、および遠景の紅葉もなかなか映えます。雲が多いのが若干残念なところではありますが、この半島を周るだけの有料カヌーツアーがあるのも納得というくらい、これはこれで見応えがあります。おもしろいのが、湖岸に近い水面のあちこちから湯気が上がっているところ。近寄って手をつけてみると、入れるほどではありませんが、場所によってはそこそこぬるい水温の場所も。確かに半島の先端のほうには「地獄」的なところがあるとは聞いてましたが、こんなにあちこちに湯溜まりがあるとは思いませんでした。

 ところで、予想はしてましたが、パックラフト、なかなか進みません。いわばただの超軽量ゴムボートなわけで、風の抵抗をもろ受ける上、吃水もほぼゼロなわけですから、体感的にはひとこぎして進む距離がアルフェックの半分くらいしかありません。しかも惰性がなく、常に漕ぎ続けないと即止まってしまう感じ。紅葉やら温泉やらは楽しいのですが、これからの日程もふまえひたすらガツガツと漕いでいきます。こりゃ、風が吹いたら地獄になるでしょう。

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 さて、この和琴半島のハイライトは、そっちの地獄ではなく、温泉天国な「地獄」。一箇所ダミー地獄みたいなところに騙されつつ、評判の高い本物の地獄エリアに到着。約40分くらいかかったでしょうか。確かに噴気がすごい!私もこれまで、温泉好きなこともあり日本各地のいろいろな地獄的なところを見てきましたが、湖岸から続く岸壁がそのまま地獄になっているのを見るのは初めてです。野田知佑さんの著書では、以前の屈斜路湖の噴火で湖水が酸性になり、生物が死滅した的なことが書かれてますが、たしかにここを見るといまだ活火山の一部なのだな、と思わずにはいられません。他の方が書かれているところでは、ここで温泉卵なんかも作れるそうで、大変に魅力的ではあったのですが、残念ながら私は今日中に摩周大橋まで帰らなければならないので、泣く泣く滞在を10分くらいで済ませて次に移動です。

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紅葉天国。

 いつの間にか空の雲も晴れてきて、空の青と紅葉のコントラストがウヒョーと叫びたくなるくらい見事な景色になってきました。これを他のお客様ゼロで、独り占め満喫できるなんて、秋の平日の和琴半島、実にお得です。

 ということで、反対側の温泉小屋が見えてきたあたりでゴール。ちょうど9時頃ですね。なかなかいいペースで周ってこられました。ここから、ふつーのカヌーの人は、釧路川の流出口まで湖上を移動するわけですが、私は静水を苦手とし、徒歩移動を可能とするパックラフトを最大限活用して、ここから徒歩で移動しようと思います。サッサと船をたたんで、徒歩移動開始です。