パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

川湯温泉はポーテージ暇日のオルタナティブとしてアリだった。

[2018年10月17日]

 7:00 - 12:00 川湯温泉周遊

さて、駅到着とほぼ同時に入線した釧網本線に乗り、川湯温泉に向かいます。ここは、美留和川湯温泉と2駅しかないのに、ちょっとした峠越えになるせいか山の中をえっちらおっちら走ってなかなか隣の駅につきません。その分、朝日に映える紅葉の中をスローライフな速度でかけぬけていきます。いい歳こいたおっさんではありますが、ついつい先頭の窓に張り付いて景色を眺めてしまいます。

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 ということで川湯温泉駅到着。温泉の最寄り駅なのに無人駅です。ここで降りたのはモダンなトレッキング装備で身を固めたおにーさんと私の二人だけ。しかもおにーさんは降りるなり颯爽と歩きだしどこかへ消えてしまいました。一方私はキャンプ+パックラフト道具一式があるためそうもいきません。ひとしきり悩んだ挙句、暗い駅舎の片隅にデポさせてもらうことに。まあこんなの、誰も盗む人いないでしょう。
 
 そして、路線バスを待って駅の近所でぶらぶらします。とりあえず硫黄山がかっこいい。ごつごつと男性的で立派な山容なのですが、よくよく見るとそう遠くない距離なのかも、と気付きました。もしや先ほどのおにーさんは、あの山にトレッキングするために訪れたのでしょうか。とすると、歩いても大した距離ではないのかもしれません。
 
 ということで「迷ったら楽しいほう」をさっそく実践して、バスではなくあの山のふもとまで歩いてみることを決断、即出発。しばし舗装道路を歩くと「青葉トンネル」という看板を発見、なんだかよくわからんけど、トレッキング道として整備されてるっぽい感じなので、そちらに向かってみます。

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 なるほど、これは木々が覆いかぶさるように生えてるので「トンネル」という名前をつけたということですねわかります、とはずれ度95%くらいに思っていたら、後日公式サイトを確認して当たっておりびっくりです。今の時期青葉ではなく紅葉ですが、もちろんそれはそれで美しいです。途中、昔の鉱山の名残の線路が残ってたりして、これはこれで時間をかければなかなか趣深そうなところではありますが、こちらは先を急ぎたいのでさっさと硫黄山に向かいます。

 ということで、駅から20分程度で硫黄山に到着。
 なるほど絶景。

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 和琴半島周遊でも書きましたが、私も温泉好きがこうじて一般的な人よりはやや多めにいわゆる「地獄」的なところを観光してきました。玉川温泉の湯量には度肝を抜かれますし、恐山の広さも圧倒されます。しかしここの迫力はなんというか別格です。山脈の谷的なところがすべて噴出孔になっており、常に湯気がもくもく、ぶしゅー。硫黄の結晶なんかもまっ黄色。霧島も草津殺生も真っ青(?)です。

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 改めて地図を見てみると、ここはちょうど、昨日の屈斜路湖の東側というか、昔の屈斜路カルデラの噴火口の一部なんですね。どうりで生きている火山なわけです。ガッテンボタンを連打したくなります。
 
 ということでひとしきり感心して、さっさと温泉街に向かいます。と、なにやらまた散策路らしき看板があったのでそちらに向かいます。舗装道路を歩く覚悟をしてたんですが、この辺りはなんともよろしく整備されてますね。火山の地層特有の低層樹林の中を快適にハイクできます。f:id:dumkm:20190128155421j:plain
  途中、あまり見覚えのない青く輝く虫が身動きもせず日向ぼっこをしてました。後日、虫マニアな息子に聞いたところ、ツチハンミョウだそうで。なんと有毒で、触ると皮膚炎起こすらしいですよ、触らなくてよかった。

 低木の樹林を抜ける道は、いつの間にか広葉樹の中を歩く道になり、しばしいくと温泉街に突き当たりました。あからさまにさびれているというか廃墟率40%くらいの街並みを抜け、とりあえず目的地の公衆浴場に向かいます。
 
 あった!...が、しかしなんとここでも「定休日」!! まさにウルトラクイズのバラマキクイズで、福留さんから「これをなんと読むー!!」と言いながら「ハズレ」の札を見せられた気分。シーズンオフの攻撃に慣れたわたくしも、さすがにこれは痛恨の一撃でした。ていうか公衆浴場の定休日ってなんだよ!! お金なんて勝手に入れるから、係員さんいらんので入れてくれよ! こっちは埼玉から来てんだよさいたまさいたまさいたま! (思わずちょっと感情的になってしまいました)

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 とりあえず八つ当たりする先もないので、おとなしく近くにあった足湯で心を静めます。これはこれで快適、堪能、名湯。さっぱりとしたPH1.5の酸性硫黄泉です。つくづく入れないのが悔しい。
 
 温泉街から駅に向かうバスは10時発でまだまだ余裕があったので足湯を終えて近所を散策します。さびれ度100%の温泉街も紅葉だけは美しいです。あと謎のシンデレラ馬車さんがいました。ただメルヘンというには、ちょっと足が太すぎる道産子農耕馬さんでしたが。それから北海道民の心のふるさと、セイコーマートにもこの旅で初めて入店。とりたてて物欲をさそうようなものはなかったのですが、土地柄を反映してか成人用おむつが売っているのが印象的でした。

 そして、お客2名を乗せて路線バスは出発。徒歩で合計1時間近い道のりを10分弱で駅まで運んでくれちゃいます。

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 駅についてもまだ10時過ぎ。いやー、なんかもう紅葉ハイクに硫黄山観光に低木トレッキングに足湯までやったんで、一日終わっていいよ、ていう感じなのですが、標茶方面の電車まではまだ2時間近くあります。しかたなく、とりあえず駅の無料足湯に入ってみたりします。しかしわたくし昨日から、足湯ばっかり入ってますね。きっと冬場はこの足湯が涙が出るほど助かることなのでしょう。
 
 足湯でふやけ切ってもまだ時間が余っていたので、駅舎を活用して運用しているっぽいカフェに入ってみました。ていうか無人駅じゃないじゃん、とツッコミたくなりますが、まあ駅員としてはゼロなのでしょう。入り口には入店待ちリスト記入もあったりして、シーズンには混むのかもしれません。
 
 おひとり様グルメでオムライスを注文。つい数日前までは源流からゴールまでパックラフト+テントだけで野心的な旅しようと思っていた人間が、まさか駅でオムライス食うことになるとは思いませんでした。しかし北海道到着からこっち、ろくなものを食べてなかった人間には、初の「お、これはなかなか美味」と思わせる味でございました。
 
 ということで身も心も満たされ、ようやくローカル線のたびにふさわしいのんびりした気分で、ホームで電車を待ちます。ただ、わたし以上にJR北海道産の保線作業員さんたちはのんびりしているようで、電車の時刻10分前くらいまで線路を渡る通路をアスファルトで補修したりしてて正直のんびり対決ではかなわない感じでした。
 
 ということで、鮮やかな紅葉が彩るホームをあとにして、標茶駅に向かいます。