パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

徒歩移動の塘路キャンプ場ではようやく焚き火ができましたよ

[2018年10月18日]

 15:00 - 塘路

 この塘路湖からの流れ込みの合流地点は、塘路二股と言われていて、その昔水運が盛んであったころは著名な船着き場の一つだったと、今こうして記事書いている際に改めて調べてみて知りました。現在では主にそばを走る鉄道の線路を保護するためのものと思われる擁壁が目立つものの、取り立てて船着き場だった面影を感じるところはなかったように思います。

 とはいえ、普通に川岸まで降りる山道的なものがあり、そこから上陸しました。落差5mくらいですかね。しかしこれ、軽量のパックラフトだからいいですが、20kg超のポリやファルトなどは持ち上げるの辛いですね。一応カヌー業者さんのツアーのゴール地点にもなってたりするみたいですが、いやーこれはカナディアン持ち上げるの重労働ですよ。

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 そばにはJR釧網線の線路とともに、水難事故を慰霊する碑と小さな社があります。あとでネットで調べればどういう事故だったのかわかるだろうと思ってきちんと読んでこなかったのですが、どう検索しても出てきませんでした。今の世の中でも物理的なものが唯一の参考資料、というものもあるのですね。

 さて、パックラフトをたたんで100均エコバックにしまい、徒歩移動開始です。事前にGoogle Mapで調べておいた限りでは、約2.1km、徒歩26分と出てました。こんなわけのわからない北のはての砂利道でも徒歩ルート検索できて、本当にGoogle先生さまさまです。

 道は、「...山道?」と思うような紅葉のトンネルをしばし歩くと、遮断器のない踏切を渡ったのち、もう少しちゃんとした砂利道に。ただ両側の雑草がすごくて、ジムニーくらいでないと入ってこられなさそうな感じ。カヌー業者さんはきっと車の傷くらい覚悟の上で入ってきているのでしょう。その砂利道の先に、塘路駅があります。

 あらかじめ覚悟してはいましたが、見事に何もない無人駅。正確に言えば、わずかな民家とともに季節限定営業っぽい店舗が数件あるようですが、当然すべて休業中の模様。とりあえず駅舎の隣にちょっとした展望台があったので登ってみましたが、なるほどちょっとした湿原的な景色は見られるもののの「広大な」とはとても言えない感じ。行きの電車で大半の観光客の皆様がこの駅で降りていってしまいましたが、皆様は一体何をめざしてここに来られたのか。「マーライオンと同じくらいガッカリポイントだったぜ」とか台湾に帰られて感想言われてないか心配です。一方個人的には、さっき下っている最中に水鳥の声だけ聞こえた沼地と思しきあたりが目視で確認できてスッキリ満足でした。

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 さて、こちらは展望台であまりゆっくり景色を眺めてもいられません。時間はもう3時半、日没まで1時間しかありません。展望台をサッサとあとにして、キャンプ場に向かいます。あたりは、国道こそ車通りが多いものの、一本道をそれると、もう車も人もまったく見当たりません。晩秋の西日に紅葉が映えています。時折、アシの林の向こうに塘路湖が見渡せるような箇所を通りますが、はたして釧路湿原の原風景はこういう感じだったのではと思わせます。そう言われてみると、塘路湖といわず、普通の住宅地の裏側とか、そこいらじゅう湿地帯だらけ。北海道開拓時代の知識など皆無ですが、当時の苦労がなんとなく忍ばれます。

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 ということで、さらに15分ほど歩いて、キャンプ場の管理棟を兼ねたレイクサイドとうろの建物に到着。ところが、誰もいない、というか鍵が閉まっている。一応電話では今月末までは平日週末問わず営業中、と聞いていたのですが...。日没まであと30分、ややテンパりながら、とりあえず隣のエコミュージアムセンターというところにいってみたら、こちらは人がいて「カヌーツアーのお客さんが来て出払ってしまってるのでしょう、伝えておきます」とのことでした。こちらは400円弱とはいえキチンと利用料金を支払いせずに使用開始してしまうことに若干引け目を感じましたが、まあ一応言伝はしたので、と自分なりに納得してキャンプ場に向かいました。

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 このキャンプ場、人によって絶賛していたり、設備が貧弱とか狭いとか言われてたりする微妙な前評判でしたが、実際私が訪れた際には、当然の貸し切り、ビューティフォーな紅葉の絨毯、林の向こうにレイクビュー。のど自慢の合格の鐘を打ち鳴らしたくなるシチュエーションです。早速テントを設営しようとしますが、これだけの空間がどこを使ってもOK、といわれると悩んでしまいます。雷雨にもならないだろうということでカマドや木のテーブルと、シンボルツリー的な木との中間あたりのところに設営しました。

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 続いては、今回の旅で初めての、焚き火の準備。ここまで焚き火をする時間も場所もなかったということもあるのですが、やはり国立公園区域内で黙認でやってしまうよりは、ちゃんとしたキャンプ場でやるほうがいいに決まってます。ということで最後の晩にしてようやくチャンス到来です。実は事前に悩んだ挙句、所有していたこういう焚き火台の網だけ持ってきて、地面にペグで設置するという超軽量焚き火台作戦を準備してきていました。 

  ところがキャンプ場に来てみて、立派なカマドがあることを発見。親切なことに焼き網まで用意してあります。ここまで完備されていてわざわざ自分のヘナチョコ焚き火台を用意する必要も感じられなかったので、ありがたく使わせてもらうことにしました。燃料はもちろんあたりで拾ってくる枯れ枝、朽木などの薪です。100%釧路産の天然薪焚き火、なんて贅沢!

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 なんとかあたりが暗くなる頃までには焚き火も赤々と燃えだし、セブンイレブンで購入してきたししゃも、ウインナー、缶詰などを肴に、文字通りこの旅で最後且つ最高の晩酌をさせていただくことができました。