パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

タイトル更新

このエントリーより以前の記事は、「パックラフトでソロの釧路川 / 試される大地に試されまくって撃沈した2018秋の記録」というタイトルで書いていたもので、その後Kindleで同名の電子書籍として出版しました。このエントリーより新しい日付の記事は、「パックラフトでソロの四万十川 / +キックボードで、源流から河口まで」というタイトルで更新します。

 

 

試される大地、最後に強烈に牙をむき、撃沈。

[2018年10月19日]
12:00 - 21:00 カヌーポート細岡駅 - 空港(帰宅)

 上陸した時は、ちょうどタイミングよく台湾系外国人御一行様が出港していくところで、人口密度がぐっと減りました。業者さんもお客を送り出すとすぐにどっかいってしまうので、こちらは気分良く川岸で昼飯とシャレこむことにしました。どうせ乗る電車は15時過ぎなので、時間に余裕ありまくりのはずです。とりあえず濡れていたパックラフトを干しつつ、袋麺で祝飯。トンボさんもお祝いにきてくれました(?)。ただ、この際どうも周囲の業者さんが、私を不思議な目で眺めいているような気がしたのは、単に単独行が珍しいだけとこの時は思っていたのですが、すぐのちに、私の超間抜け要因であることに気付かされます。

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 さて、気分良く質素な昼飯を済ませ、あっという間に乾いたパックラフトも収納し、久しぶりにすべての荷物がホグロフスのバッグ内に収まりました。まだ時間は1時前ですが、余裕があれば駅舎に荷物をデポして絶景と噂の細岡展望台でも眺めてこようか、と駅に向かいます。ものの数分で駅舎に到着。ログハウス風のしゃれおつな建物です。紅葉も美しい。

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さて、早速荷物をデポして、あたりでも散歩しようかな、と中に入り、ふと壁の時刻表に目をやると...。

 

 妙に空白の多い時刻表が。
 まあそれはそうだよね。

 

 しかし...。

 

 

 9時台の次が、

 

 

.....18時!!!!!??????

 

 

 ていうか、15時台の1本が、ビニールテープが貼られて消されている!!
 なんじゃこりゃ。なんじゃこりゃーーー!!(松田優作)

 いやいやいや、おかしいでしょう。こちとらちゃんと事前に乗換案内でも検索して調べたし、時刻表も複数サイトで確認したよ。季節運行のワナなんて華麗にかわしているはずですよ。だいたい往路でこの時間帯の電車に載ったんだから、反対方向も同じようにあるに決まってるでしょ!! (都会でしか通じない常識)

 ...て盤石に調べたのは9月中だったなあ、たしか。
 これは、最後の最後で釧路のシーズンオフの落とし穴に、華麗かつ軽やかにドロップ・オフ☆したということでしょうか。


 もはや敗戦は確定的な状況ではありますが、一応念の為JR北海道の時刻表問い合わせサービスに電話してみます。


「これこれこういうわけであちこち調べて、この時間帯の電車があるに決まっているはずなのですが...。(ほぼクレーマー)」
「あー、それはノロッコですね。季節運行です。10月8日で運行終わってます。」

 

 

    終
制作・著作
━━━━━
 ⓃⒽⓀ

 

 

...おかしいなあ。わたくしは、無沈で万感の達成感でローカル電車に乗り、釧路駅に向かっているはずだったのに、なぜタクシーに乗ってるんだろう。しかもなんだろうこの挫折感、敗北感。敗北感っていうか、目の前のタクシーの料金表示が、2日前に止まった旅館並みの金額を表示しているのも、なんだか夢のような悪夢のような。そうか。これは夢だ。まだ塘路湖のテントの中で寝ている最中だ。どうりで霧が濃いわけだ。北海道のもののけに化かされているだけだ。きっとそうに決まっている。

 

 ...というわけで、最後の最後で釧路のシーズンオフ・トラップに痛恨の一撃をくらい、一泊二食付き旅館くらいのタクシー料金を払って、細岡駅から釧路駅まで移動しました。いや、細岡駅で電話が通じたのは不幸中の幸いでしたし、タクシー移動そのものは快適でしたよ。く、悔しくなんかないですよ、少ししか。しかし、電話で呼びつけたタクシーを待っている間、目の前を通過していった回送車両が大変恨めしく見えました。料金倍払うから、それに載せてくれよ、という感じです。

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 今更何をいっても負け惜しみにしかならないのですが、改めて時刻表を見てみると、9時台に釧路方面が1本ありますし、一つ隣の釧路湿原駅まで2.5km歩けば、13時台に通年運行の快速が一本ありました(細岡は通過)。というわけで、朝サルボ展望台まで往復したり、もっといえば12時に到着しても余裕ぶっこいてラーメンなんか食わず、まっすぐ徒歩で釧路湿原駅に移動すれば少なくとも13時台の電車には乗れたはずなわけです。どうりで業者の皆様が不思議な目で私を見ていたわけですね。というわけで、もし奇特にも私と同じルートを取られたいかたがいらっしゃいましたら、くれぐれもシーズンオフの運行状況にはお気をつけください。

 

 悔しいので、最後の最後で奮発して、空港で鮭イクラ丼食べちゃいました。1500円。いや、和商市場の勝手丼なんかより、ずっと安くてずっとうまかったですよ。

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結論:試される大地、シーズンオフの釧路の牙を舐めると、こういう目にあいます。
(本当に)おわり。制作・著作 dumkm。2019年4月。

 

追記:本ブログの内容を電子書籍化し、同タイトルでAmazon Kindle Storeに登録しました。内容はほとんどここと同じですので、どうしてもオフラインでまとめ読みしたいかたのみ、どうぞ。

 

 

いよいよ細岡にゴール

[2018年10月19日]

9:30 - 12:00 塘路キャンプ場 - カヌーポート細岡駅

さて、いよいよ釧路川最後の船出です。時間は9:30、結構いい時間になってしまいました。とはいえ、今日はゴールまで10km弱しかない、余裕のある日程のはず。先を急がず、まずはここを目的として訪れる人がいるくらいの塘路湖を楽しもう、とゆっくり漕ぎ出します。...で、すぐに気づいたのが、やっぱりパックラフトは静水に向いていないということ。まあ進まない進まない。無風だからまだいいですが、向かい風にでもなったらこれ、永遠に湖から脱出できない気がします。

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 ということで、すこしガツガツモードに変更して、流出口に向かいます。といっても、遠目には葦ばかり生えててどの辺が流出口なのかさっぱりわからない。とりあえず湖岸沿いに進んでいるうちに、変な湾に迷い込んでしまいました。その間に、あとから出発した業者カヌーのご一行が先行していったので、それの後をついていってようやく流出の橋をくぐります。
 
 ここからは、まがいなりにもきちんと流れのある川になるはずですが、どなたかが書かれていた「さかのぼるのが大変」という割には、下ってみてもほとんど流れを感じない、湖の延長みたいな感じ。相も変わらずこぎ続ける必要があります。でもなんだか周りは湿地の土壌に葦が生い茂り、実に湿原チック。帰ってきてから思うのは、実はこの辺りが一番釧路湿原の原風景を感じられるところではないかと思いました。

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 塘路湖の船出からこぎ続けること40分、ようやく昨日の上陸地点である二俣まで到着。本流はさすがに流れがあり、ようやくガツガツ漕ぎから解放されて流れに身を任せられるようになりました。天候はこの日も快晴、カラっとした空気に足を素足で投げだすと実に気分がいいです(なめ過ぎ危険)。

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 しばらく流れるがままにだらだらといくと、だいぶ先行していたはずの業者カヌーのかたと再びランデブー。どうも支流に行かれていたようです。近づきすぎてもアレでしょうから少し間をおいて下りますが、なにやら延々とあたりについてのご説明をされているようで、なるほどこれは単なるライン下り座ってるだけ、ではなく、釧路湿原に造詣のある方の生解説付、と値段なりの価値があるように思えました。

 しばらくいくと、もうすっかり珍しくなくなってしまったエゾシカさんに、また遭遇。しかし今回は親子連れということで、小鹿のほうがスレてなくて近寄ってもなかなか逃げなかったりしました。

 そうこうしているうちに業者さんとも離れ、また単独行満喫状態に。そろそろこの川下りも終わりに近づいてます。思えばあっという間だったような、結構あちこち苦労があったような、でもやっぱり短かったような。少しだけ、細岡ゴールをやめて、その先まで行ってみようかとも思ったのですが、無計画に予定変更してもろくなことがなさそうなので、おとなしく細岡で上がることにします。

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 しばしの左右のうねうねを抜けると、ゴールのカヌーポート細岡が見えました。ここから出発する業者ツアーの皆様で大変にぎわっております。感無量のゴール。ちょうど12時ころ、晴れて無事、沈なしで旅を終えることができました。