パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

道具の紹介:その他パックラフトとか

 拙著「パックラフトでソロの釧路川」とほぼほぼ一緒なので、パックラフト関係そのものの説明は省略させていただきたいところですが、ひとつだけ。

 バイバイン??
 そんなわけはなく、もう一つ追加で購入してしまいました。理由は、とある遠征先で付属のポンプサックを紛失してしまい、代替品を色々探してみたのですが口径がピッタリ合うものがなく、ならばもう一つ買えばよいではないかという大変やぶれかぶれなものです。

 

 その後、このFLEXTAILGEARという小さなポンプが実は使えるということに気が付き、わざわざ2個目を購入したのはまるで無駄になりました。いいんです、また八重山に持っていって、家族でマングローブ探検とかに使ったので。むしろ製品の素性的には、こういった浅瀬の静水方面の用途のほうが正しい気もします。

 それから、前回からの差分という意味では、靴が大きく進化しました。

 

 前回はサンダル+偽物ゴアテックス靴下およびマリンシューズの2個を持ち込んだというか一方を履いていきいろいろ大失敗だったのですが、このサロモンの水陸両用スニーカーはまさに今回のような用途にうってつけです。源流部のヒルクライムにも、もちろん川下りにも使えました。それに合わせての購入がこのアミアミ靴下。

 山登り界ではすっかり定番となった、ミレーのドライナミックメッシュの靴下版、みたいな感じです。まあ前回の釧路川と比べて明らかに気温が高めだからこその選択という側面もありますが、いずれにせよ5年前にはなかった組み合わせです。ちなみに上記の靴は私がまさに所有しているものですが、2023年春の時点ですでに型落ちで五千円位で買いました。今はより新しいものが同等にお手頃で買えるでしょうし、なんならメレルとか他社でも同等品が出ているようです。

 あと、こちらも前回からの差分となったのが、雨具です。

 5年前は事実上ゴアテックスの一択だったのですが、その後各社からウルトラライト系の、各社独自素材のものがいろいろ出てきて、よりコンパクトかつ軽量なものが入手できるようになりました。私が購入した上記ミレーのティフォン50000ジャケットは、出始めの時にアウトレットでサンプル品と言われていたものを上下セットで1万5千円位で購入し、まあエセゴアだろうしそんな程度の値段と内容だよね、くらいに思っていたら、今はかなり立派なお値段になっていてびっくりです。

 ウェア関係ではもう一つ、今回はあえてフリースを唯一の防寒着として持参しました。そう、山登り界隈ではすっかり時代遅れのレッテルを張られてしまった、フリースです。釧路はウルトラライトダウンを持参したのですが、もちろん気温的に十月の四万十川ならフリースでよかろう、というところもありましたが、ダウンは万が一浸水するとまるで保温力が無くなってしまうということから本来川旅とはあまり相性が良くありません。一方濡れてしまってもそこそこ保温力があるのが、今日においてもフリースの最大のメリットです。そしてなんといっても今回フリースを選べた理由は、ご覧の写真の通り、百均で購入できるようになった衣類圧縮パックです。これのおかげで本来あまりコンパクトにならないフリースもずいぶん小さめにして持っていくことができました。さらに、防水も兼ねているので一石二鳥です。前回のようなダッフルバックの内側にもう一枚防水袋、みたいな対応が不要になりました。

 写真の紹介ついでにキックボード関係で2点ほど。まずはヘルメットの代わりです。

 先に紹介したブログの人が、最後に転倒して気絶、頭から流血、救急車で運ばれる、などという事態に遭遇されており、これはなめてはいけない、と思って購入しました。「いやヘルメットじゃないのかよ」という声が聞こえそうですが、さすがにあんなにかさばるものをザックに装着していくのもちょっと厳しく。これはたたむというか板状にしてザックの中に入りますし、名前の通りクッション代わりに敷いて座ることもできます。あと、今回のグッズの中で個人的にMVPをあげたいのがこちら。

 え?ただのゴムつき軍手じゃん?と侮ることなかれ。この絶妙な個々のゴムのサイズと素材感がいろいろな振動を吸収します。そう、ウレタンタイヤなキックボードの路面の振動も吸収してくれるわけです。こいつが運動不足な中年おじさんのウレタンタイヤチョイスを成功に導きました。さらにさらに、裏返せばただの軍手なので、キャンプの時の炊事や焚火にも使えますし、もちろんカヌーでパドルを漕ぐ時にもバッチリです。

 ということで、これらをもろもろ詰め込んだ状態が前の記事のキックボードに装着されたものなのですが、荷物総重量が前回釧路川遠征時で13kgだったのに対し、今回は同じく空港の手荷物預けの計りで、キックボード込みで15kgでした。航空機国内線の上限20kgを余裕でクリアです。キックボードだけで5kgちょっとあるので、その他の装備が前回比で3kg程度ダイエットできたことになります。本当、ウルトラライトな物品がアウトレット価格で購入できてしまう世の中に感謝です。

道具の紹介:キックボード


 おいおい、「パックラフトで」ってい言っているのにいきなり紹介するのはキックボードかよ!と言われてしまいそうですが、はい、開き直って言いますと、今回の旅行はどっちかというとキックボードの活躍の場のほうが大きかったです。だって、水がないんですもん、いろいろ、あちこち。(言っちゃった)

 誤解なきように説明しておきますと、出発前はちゃんとある程度川に水があるところからはパックラフトを使う予定でした。しかし行ってみれば、もともと水位の下がるシーズンである秋の上、この年は稀にみる渇水。ただ、結果として「思い立ったが吉日」でいつでも陸上移動に切り替えられるキックボードが大活躍でした。
 
 四の五の言う前に、まずは今回使用したものをご紹介しましょう。じゃん。
 フレンジー スクーター FR205 Dual Brake です。

 

 日本国内では主に「キックボード」という言葉が主流ですが、海外では「キックスクーター」と言われることのほうが多いようで、上記商品名も「スクーター」という名前になっています。しかし我々的には「スクーター」と言われると五〇ccの原付のほうを思い浮かべてしまいますよね。最初、海外でのキックボードの使われ方を参考にするため色々調べていたのですが、Kick Boardでは全然出てこなくて、「何、キックボードって日本固有のものなの?」と思ってしまいましたが、なんてことはない、単なる流通用語の違いでした。そして、なぜ海外と国内で用語に違いが発生しているのかもよくわかりませんでした。あるいは、このスクーター=原付、といういまいちイメージの良くない言葉を避けたいがために、あえてボードという言葉を使っているのかもしれませんね。一応、日本国内のデファクトスタンダードに合わせ、この記事では以降キックボードと呼ばせていただきます。

 さて、このキックボードですが、主にお子様用のおもちゃ的なものから、少なくとも金額的にはかわいくないものまでいろいろあるのですが、私の今回の旅的には上記の機種一択です。ポイントは主に3つあります。

・全体のつくり
・ハンドルの幅
・ウレタンタイヤ

 あとしいて言えばハンドルにもブレーキが付いていること。(4つじゃん)

 事前に各種比較サイトや皆様のブログを拝見させていただいたのですが、まず「全体のつくり」については、ネットで販売されているありがちな一万円未満のものとはいろいろ違います。特に顕著なのが折りたたみ機構のロック部分。安価なものはここに自転車のサドルを固定するようなハンドルが二つついていて、ダブルロックするようなものが多いのですが、このフレンジーはパイプ内にロック機構が内蔵されており、指で押せば一発でリリースできるようになっています。以前、知り合いからダブルロック型のキックボードを譲り受けたことがあったのですが、子供に使わせていたらこの部分があっという間に壊れてしまいました。このフレンジーの方式は少なくとも今回の旅で壊れることはありませんでした。

 それから、地味に重要なのがハンドルの幅です。私が調べた限り、大人が使って違和感ないハンドル幅のものは、このフレンジーだけでした。他のは皆狭い。一~二キロこれより軽い製品もあったりしますが、こんなところをケチってはいけません。ここが狭いと、てこの原理でタイヤの向きに対する力がより必要になり、つまりハンドル保持が安定しなくなります。そういう意味で、長距離ツーリング用途ではわたくし的にはこのフレンジー一択です。(キックボードを長距離に使う人は稀かと思いますが)
 
 あと、半ば宗教論争じみているのがタイヤの種類。比較的長距離を乗る人に限って、主に振動の理由からゴムタイヤをお勧めしていることが多いのですが、引き換えにひとケリで進む距離が減ります。ウレタンタイヤのほうが圧倒的に路面抵抗が少ないのです。つまり、体力に自信のある人はゴムタイヤでOKなのかもしれませんが、私のようにおっさんど真ん中、運動不足の日本代表みたいな人にはウレタンタイヤ一択なわけです。その代わりに私は別の工夫を施したのですが、それはまた後ほどご紹介します。あ、あと一応補足しておきますと、サスペンションが付いているようなものは論外です。重量がかさんでしまいますし、第一ひとケリひとケリごとにせっかくキックしている力の何パーセントかをこのこのサスペンションで吸収してしまうからですね。

 ブレーキ。こちらもちょっと宗教論争っぽい。フットブレーキで万全という人と、いざというときに自転車などで慣れているハンドブレーキが必須、という人がいます。わたくし的には主に後者の意見で、今回購入したものもハンドブレーキ付きのものなのですが、道中これが致命的な結果を招きました。ヒントはダウンヒルなのですが、そこまで話が進んでから詳しくご説明しますのでお楽しみに(?)。

 さてさて、問題は、このキックボードにパックラフト旅行する荷物一式を装着するとどうなるかです。どん。

 なんといいますか、キックボードに荷物をつけているというより、荷物からタイヤが生えている、といったほうがいい状態かもしれません。見てわかるかと思いますが、モーレツに前方に重心が偏った状態で、この写真では壁に立てかけて自立させてますが、本来人間がキックボードを踏んでいないと、思いっきり前方に倒れます。しかし一度乗ってしまえば不思議なほど安定し、重量のせいかむしろ速度が上がった状態ではハンドルもブレなくなるようです。このキックボードの耐荷重は一〇〇kgなので、私の体重と荷物を合わせてもこれは超えていないのですが、そうはいっても極端に前タイヤに負担がかかることは想定していないでしょうから、本来メーカーとしてはやめてくれ、という使い方でしょうね。
 
 ということで、最後に参考にさせていただいた、他のサイトの皆様をご紹介させていただきます。
 
定年男子さん

定年男子 | キックボード旅【琵琶湖一周200km】2泊3日でチャレンジ。キックボードは旅の道具になります。

 同じフレンジーのゴムタイヤ版で琵琶湖一周をされている方です。「疲れづらいフォーム」というのが大変参考になりました。

 

佐々木 望さん 

突然の長期休暇とキックボード師匠との出会い -キックボードで160キロ旅したら、路面形状を一瞬で見極めるスキルがついた話-1|佐々木 望


 同じくフレンジーのウレタンタイヤ版で南紀を旅行されたかたです。「路面形状を一瞬で見極める」というのが重要です。

 

AROUND THE CARIBBEAN BY KICK SCOOTER [Trailer]

AROUND THE CARIBBEAN BY KICK SCOOTER [Trailer] - YouTube

マッチョな外人さんがカリブ海をキックボードでキャンプ旅行しています。

 

旅人の詩さん

旅人の詩(うた)〜NOB’s Home Page!〜【旅のあしあと】

なんといっても旅のスタイルを色々参考にさせていただきました。キックボード旅行歴一〇年以上の大ベテラン。しかし記録の最後が「事故りました」で終わっているのですが、その後大丈夫なのでしょうか。

 

 というわけでいろいろ問題を先送りにしたり不安にしかならない情報もありますが、特に気にせず次ではその他の道具の紹介もしたいと思います。

なぜ四万十川か。

 

 某有名なNHK Eテレの子供番組の歌に「呼んでもないのに[呼んだ?]って出てくるよ」という名セリフがありますが、まさにソレな、な感じとなる、誰にも期待されていないのに「期待してた?」と思い込み一念発起した「パックラフトでソロの」シリーズ続編になります。

 いやー今回はいろいろ悩みました。
 何をかって、「四万十川でいいのか」というところです。
 
 前回の釧路川は、誰に聞いても文句なく、世界的に見ても貴重な釧路湿原を縫う清流釧路川、源流の屈斜路湖から釧路湿原中心部まで船で一人旅なんて最高、という感じだったのですが、四万十川しまんとがわ)というと、えーっと、あれ四国のどのへんだっけ、聞いたことはあるんだけど何かあるんだっけ?というかたも少なくないのではないかと思います。
 
 そうなんです、四国の川といえば最近のニュースでよく聞くのはむしろ渇水の話題ばかりで、だいたい夏から秋にかけて少雨のためダムの貯水率が下がり...みたいなトピックばかり並びます。何しろ四国、高知という地名まであるくせに、高地が少ないですから。というか最高峰でも二千m弱。我らが地元、埼玉県ですら最高峰は二千五百m程度あるのに。
 
 しかし!そんなことではいけないのです!四万十川といえばなんといってもカヌーの聖地!水量とか関係なくカヌーと言えば四万十川四万十川といえばカヌーなのです。なぜ?
 
 という前置きもうっとうしいですよね。皆さんご存じですよね、日本を代表するカヌーの第一人者、野田知佑さんがその著書で紹介したのがきっかけで、特に「最後の清流」というキャッチコピーを付けたのも野田さんと言われています。後にNHKの「ブラタモリ」という番組で、なぜ四万十川が清流と言われているか、みたいなテーマでするどく激しく迫っているのが実に滑稽でもありました。
 
 そうです、四万十川、実はそんなに清流ではないのです、少なくとも現在は。もちろん、野田さんが最初に紹介した一九八〇年頃は川の水を使ってウイスキー水割りにできるくらい綺麗だったのかもしれませんが、今は同じことをやったらお腹下すと思います。他の情報源をいろいろ参照させていただくと、やれ法律上で言うところのダムが一個もないからだとか(*実際にはどう見てもダムと言えるものがあります)、いろいろ言い訳めいたことが書かれていますが(失礼)、やはり少なくとも水質上はとても清流とは呼べません。
 
 ではなぜそんな川に?
 理由の一つは、やはり野田知佑さんです(2回目)。

 実はわたくし、野田さんが下ったと思われる頃から十数年後に四万十川を訪れたことがあるのです。理由は当時も、野田さんの著書がきっかけで我々の目に触れるようになったから、といったように記憶していますが、さすがにこの頃の記憶はあいまいで、一つ上の学年の皆様がなんとなく適当に決めていた気もします。高校二年生と三年生の春の計二回、当時青春十八きっぷという一枚二千円ちょっとでJR全線が乗り放題になる、という切符を使って埼玉から四万十川まで旅行をしました。電車賃だけ見れば往復でも五千円かかっていないという恐ろしい貧乏旅行です。そして、私が高校二年生の時の旅行は一九九一年。おおよそ上記の野田さんが訪れた時から十年ちょっと経っていた頃だと思うのですが、四万十川は当時からすでに清流ではありませんでした。この年に訪れたのが窪川という比較的中流域ということも良くなかったのだとは思いますが、水質は関東あたりにある川と大差なく、というか朝には川岸に泡ぶくが発生しており、明らかに生活排水がそのまま流れ込んでいることが見て取れました。

 そんな、清流でないことが分かっている川に、三〇年の時を経て、今回またあえて訪問をもくろむことになります。なぜか。

 理由はやっぱり野田さんです(3回目)。

 別の拙書でも書きましたが、私の父がちょうど野田さんと同じ年に生まれ、同じ年に亡くなりました。

 「以上、おしまい」と残念なくらいそれ以上の関連性が無いのですが。

 とにかく亡くなられて一年、私の人生に重なり影響を与えた、と一方的かつ勝手に思い込んでいる野田さんが、長く愛した川というのを姿勢を正して再訪してみたい、というのが一点。
 
 そして、高校の時に訪れてから早三〇年、いったい景色はどう変わっているんだろう、というノスタルジーの心に駆られて、というのも一点。まだ五〇前なのに、もうノスタルジーかよ。おっさんかよ。という感じなのですが、いいんです、おっさんど真ん中なんですから。 

 
 さらにもう一点。「実は結構、あの頃から比べて水質が向上しているんじゃね?」という妙な期待。これは実体験によるものです。二〇世紀後半は、高度経済成長期とバブル経済で宅地開発も進み、全国各地で住民も増え、自然破壊も進んで河川の水質悪化も進んだと思うのですが、それはずいぶん昔の話。二一世紀も四半期が過ぎようとしている今日では、意外なことに河川の水質が改善しているようです。もちろん、全国各地で行われている川の自然を取り戻す地道な活動だとか、下水道や浄化槽の普及もあるとは思うのですが、私個人の見解としてはもっとシンプルに「限界集落」が一因と考えています。
 
 具体的に、私が小学生のころ、地元の川の汚さっぷりは、それはもうすごいものでした。ドブの臭いがしない川はなく、場所によってはゴルフ場からの農薬の流れ込みと蓄積で、川底が粘土状に赤黒くなっているところもありました。傷口があるともれなく化膿し、アカチンが手放せませんでした。それでも、ザリガニ取りやザコ釣りくらいはしていた記憶があるので大したものです。

 ところが、しばらく地元を離れ、大人になって三〇年ぶりくらいに地元近辺の川に立ち寄ってみると、びっくりする位水質が改善してるのです。なんなら泳げるくらい。実際高麗川巾着田近辺で子供を泳がせたりしました。いえ、私も小学生のころ一度あの近辺で泳いだことはあったのですが、ドブ臭が体にしみついてなかなか取れなかった記憶があります。また都幾川上流にある渓谷も、「なんちゃらブルー」という名称をつけたくなるくらい青緑の綺麗な色になってました。
 
 これの理由は、川から陸を見上げれば一目瞭然です。
 流域の住民がいなくなりました。

 いわゆる限界集落のなれの果てで、高齢者だけだった住民の皆様も多くが高齢者施設に入ってしまったか亡くなられてしまったか、何らかの理由で明らかに主がいなくなった家が並ぶのが分かります。「そんなのお前の思い込みだろう」って?簡単な見分け方が一つあります。屋根の上のテレビのアンテナを見ればよいのです。VHFの大柄なアンテナだけついており、地デジ用のUHFアンテナがついていなければ、地デジ移行前に住民がいなくなってしまった家、と判断できるわけです。ちなみに私の実家ももれなくこのケースに当てはまります。
 
 というわけで、この上もなく失礼な思い込みによる根拠ではあるのですが、四万十川も同じように流域の住民が減り、水が綺麗になっているのではないかと期待しました。もちろんこれを書いている現在は旅を終えているので、実際どうだったかすぐ書くこともできるのですが、今回はあえてもったいぶってここでは書かないようにします。
 
 さて、とにかくこれにて旅の動機づけ、モティベーションは十分...かというと、まだ足りませんでした。
 
 どうせやるなら、釧路川の時にも書いていた「死ぬまでにやりたいこと100」をもう一つくらいこの旅でこなしたい、という目論見がありました。恥ずかしげもなく、また前回と同様に一部を紹介しますと...。
 
・自作ビールを作る(*一定アルコール度数以上のものは酒税法違反です)
・花火を升席で見る
・京都の一見さんお断りの店にいく
・野生のイルカと泳ぐ

 などなどあり、その一つとして「源流から河口まで辿ってみる」という項目もありました。ふむ、いいんじゃない、と一見思うのですが、これを四万十川でやろうとすると結構大変です。いえ、正確には、レンタカーとか自転車とかで源流に行き、そのまま流域沿いに道路を並走して河口まで到達するのはそう難しくもない気がするのですが、今回の旅の核心である「パックラフトで川下り」を前提とすると、特に上流部の移動に大変困ることになりました。

 四万十川だけでなくどこの川でもそうだと思いますが、上流部は船で下るほど水量がありません。いわんや源流部をや(反語)です。そして、前回からのこだわりとして、ソロで、かつなるべく公共交通機関だけで移動する、というのは外したくなく、最初からレンタカーを使うという選択肢は消えました。旅は一方通行、川下り後に車で回送なんてナンセンス!という無駄なこだわりです。
 
 さて困ったぞ。他の皆様がやられているように、自転車でも持ち込むか?

 そう思ったのですが、ちょっと調べてみるとパックラフトに搭載できるくらいの自転車だと超軽量の部類になり、詳しくはないのですがダホンとかいうブランドで安くても十万円位します。いや、二万円のパックラフトに載せる自転車が十万円て...。
 
 と色々調べているうちに目についたのが、「キックボード」という乗り物です。そうです、そこいらへんにいる子供たちがよく乗っている、スケートボードにハンドルが生えたような乗り物です。これならほどほどの品質のものが1万円中ごろで買えます。さらに、物にもよりますが5㎏程度とかなり軽量です。まさに「ぐりとぐら」のように「これだ」と、ぽんと手をたたきました。

 まあ実際には「これだ」程度の考えて決心してしまったがためにその後いろいろ苦労することになるのですが、こうして今回の旅のスタイルの大枠が固まりました。
 
 二〇二三年秋、四万十川を旅する。
 パックラフト+キックボードで、源流から河口まで。
 ~野田さんと高校生の自分を追うノスタルジーの旅~
 
 ...動機付けがなげーよ、我ながら!ですね。
 まあ要するに知名度だけ高くて水質良くないとわかっている川に行く理由づけに苦労した、という話ですね。ということで、次から順次、旅の詳細に入っていきたいと思います。