パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

道具の紹介:キックボード


 おいおい、「パックラフトで」ってい言っているのにいきなり紹介するのはキックボードかよ!と言われてしまいそうですが、はい、開き直って言いますと、今回の旅行はどっちかというとキックボードの活躍の場のほうが大きかったです。だって、水がないんですもん、いろいろ、あちこち。(言っちゃった)

 誤解なきように説明しておきますと、出発前はちゃんとある程度川に水があるところからはパックラフトを使う予定でした。しかし行ってみれば、もともと水位の下がるシーズンである秋の上、この年は稀にみる渇水。ただ、結果として「思い立ったが吉日」でいつでも陸上移動に切り替えられるキックボードが大活躍でした。
 
 四の五の言う前に、まずは今回使用したものをご紹介しましょう。じゃん。
 フレンジー スクーター FR205 Dual Brake です。

 

 日本国内では主に「キックボード」という言葉が主流ですが、海外では「キックスクーター」と言われることのほうが多いようで、上記商品名も「スクーター」という名前になっています。しかし我々的には「スクーター」と言われると五〇ccの原付のほうを思い浮かべてしまいますよね。最初、海外でのキックボードの使われ方を参考にするため色々調べていたのですが、Kick Boardでは全然出てこなくて、「何、キックボードって日本固有のものなの?」と思ってしまいましたが、なんてことはない、単なる流通用語の違いでした。そして、なぜ海外と国内で用語に違いが発生しているのかもよくわかりませんでした。あるいは、このスクーター=原付、といういまいちイメージの良くない言葉を避けたいがために、あえてボードという言葉を使っているのかもしれませんね。一応、日本国内のデファクトスタンダードに合わせ、この記事では以降キックボードと呼ばせていただきます。

 さて、このキックボードですが、主にお子様用のおもちゃ的なものから、少なくとも金額的にはかわいくないものまでいろいろあるのですが、私の今回の旅的には上記の機種一択です。ポイントは主に3つあります。

・全体のつくり
・ハンドルの幅
・ウレタンタイヤ

 あとしいて言えばハンドルにもブレーキが付いていること。(4つじゃん)

 事前に各種比較サイトや皆様のブログを拝見させていただいたのですが、まず「全体のつくり」については、ネットで販売されているありがちな一万円未満のものとはいろいろ違います。特に顕著なのが折りたたみ機構のロック部分。安価なものはここに自転車のサドルを固定するようなハンドルが二つついていて、ダブルロックするようなものが多いのですが、このフレンジーはパイプ内にロック機構が内蔵されており、指で押せば一発でリリースできるようになっています。以前、知り合いからダブルロック型のキックボードを譲り受けたことがあったのですが、子供に使わせていたらこの部分があっという間に壊れてしまいました。このフレンジーの方式は少なくとも今回の旅で壊れることはありませんでした。

 それから、地味に重要なのがハンドルの幅です。私が調べた限り、大人が使って違和感ないハンドル幅のものは、このフレンジーだけでした。他のは皆狭い。一~二キロこれより軽い製品もあったりしますが、こんなところをケチってはいけません。ここが狭いと、てこの原理でタイヤの向きに対する力がより必要になり、つまりハンドル保持が安定しなくなります。そういう意味で、長距離ツーリング用途ではわたくし的にはこのフレンジー一択です。(キックボードを長距離に使う人は稀かと思いますが)
 
 あと、半ば宗教論争じみているのがタイヤの種類。比較的長距離を乗る人に限って、主に振動の理由からゴムタイヤをお勧めしていることが多いのですが、引き換えにひとケリで進む距離が減ります。ウレタンタイヤのほうが圧倒的に路面抵抗が少ないのです。つまり、体力に自信のある人はゴムタイヤでOKなのかもしれませんが、私のようにおっさんど真ん中、運動不足の日本代表みたいな人にはウレタンタイヤ一択なわけです。その代わりに私は別の工夫を施したのですが、それはまた後ほどご紹介します。あ、あと一応補足しておきますと、サスペンションが付いているようなものは論外です。重量がかさんでしまいますし、第一ひとケリひとケリごとにせっかくキックしている力の何パーセントかをこのこのサスペンションで吸収してしまうからですね。

 ブレーキ。こちらもちょっと宗教論争っぽい。フットブレーキで万全という人と、いざというときに自転車などで慣れているハンドブレーキが必須、という人がいます。わたくし的には主に後者の意見で、今回購入したものもハンドブレーキ付きのものなのですが、道中これが致命的な結果を招きました。ヒントはダウンヒルなのですが、そこまで話が進んでから詳しくご説明しますのでお楽しみに(?)。

 さてさて、問題は、このキックボードにパックラフト旅行する荷物一式を装着するとどうなるかです。どん。

 なんといいますか、キックボードに荷物をつけているというより、荷物からタイヤが生えている、といったほうがいい状態かもしれません。見てわかるかと思いますが、モーレツに前方に重心が偏った状態で、この写真では壁に立てかけて自立させてますが、本来人間がキックボードを踏んでいないと、思いっきり前方に倒れます。しかし一度乗ってしまえば不思議なほど安定し、重量のせいかむしろ速度が上がった状態ではハンドルもブレなくなるようです。このキックボードの耐荷重は一〇〇kgなので、私の体重と荷物を合わせてもこれは超えていないのですが、そうはいっても極端に前タイヤに負担がかかることは想定していないでしょうから、本来メーカーとしてはやめてくれ、という使い方でしょうね。
 
 ということで、最後に参考にさせていただいた、他のサイトの皆様をご紹介させていただきます。
 
定年男子さん

定年男子 | キックボード旅【琵琶湖一周200km】2泊3日でチャレンジ。キックボードは旅の道具になります。

 同じフレンジーのゴムタイヤ版で琵琶湖一周をされている方です。「疲れづらいフォーム」というのが大変参考になりました。

 

佐々木 望さん 

突然の長期休暇とキックボード師匠との出会い -キックボードで160キロ旅したら、路面形状を一瞬で見極めるスキルがついた話-1|佐々木 望


 同じくフレンジーのウレタンタイヤ版で南紀を旅行されたかたです。「路面形状を一瞬で見極める」というのが重要です。

 

AROUND THE CARIBBEAN BY KICK SCOOTER [Trailer]

AROUND THE CARIBBEAN BY KICK SCOOTER [Trailer] - YouTube

マッチョな外人さんがカリブ海をキックボードでキャンプ旅行しています。

 

旅人の詩さん

旅人の詩(うた)〜NOB’s Home Page!〜【旅のあしあと】

なんといっても旅のスタイルを色々参考にさせていただきました。キックボード旅行歴一〇年以上の大ベテラン。しかし記録の最後が「事故りました」で終わっているのですが、その後大丈夫なのでしょうか。

 

 というわけでいろいろ問題を先送りにしたり不安にしかならない情報もありますが、特に気にせず次ではその他の道具の紹介もしたいと思います。