パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

源流部はたしかに釧路川のハイライトだった

 [2018年10月16日]

9:00 - 12:00 釧路川流出 - 美留和

 さて、長らく「釧路川」というブログ名でありながら2ヶ月以上釧路川に関係のない内容をひたすら書いてきましたが、ようやく釧路川下りの話になります。よく一般論なんかでも旅行が一番楽しいのは出発の直前まで、みたいな話がありますが(ないですかね)釧路川そのものも、下ってしまうのは一瞬で、アプローチと後始末ばかり時間がかかるんですよ。ほんと(真顔で。意味は本ブログの最後あたりにでも)。

 ということで、前回からの続きで、ようやく流出口に到着です。しかし動力船お断りはともかく、キャンプ場以外でのテントタープの設営は「懲役または罰金」って、「釧路川怖えぇ」ですね。さっきの台湾な皆さん、見つからないことを祈ります。ていうか、厳密に言えば、釧路川流域はすべて国立公園内なのでアウト、ということで私の今朝の場所もNGですかね???

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 気を取り直して、入川届けもだし、パックラフトも膨らまして出発準備です。そうこうしている間にも、さすがの釧路川源流部、数組がつぎつぎに船を降ろしてきたり、出港したりしていきます。平日だということもあり、おおよそ業者によるツアーの皆様なばかりのようです。オフシーズンと聞いてはいましたが、それでもこんなにいるんですね。

 さて、いよいよ湖岸から、出港です! すぐそばにある低い橋をくぐって、いざ釧路川へ!

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 どなたかが書かれてましたが、これぞまさしく「ウィルダネス」!細い雑木が立ち並ぶ中、広くて浅い川が流れ抜けていきます。流速が速いといいますが、せいぜい4-5kmくらい、わたしがよく行く安曇野のよろずい川よりは少し遅い感じです。カヌーで下れる川というと、たいていどこにいってもそこそこの流量があり、ということはつまり中流から下流域で、市街地が近かったりするのですが、ここはいきなり原生林からのスタートです。しかも水の透明度といったら。よろずい川も、大王わさび農園から流れ込む支流なんかは水道水のように透明だったりしますが、本流は田んぼからの水でドロ濁りしてたりすることが多いです。でも釧路川は本流すべて透き通る水。聞くところによれば多量の湧水で、源流部に関して言えば下るほど透明度が上がっていくとか。しかも大した深さでもなく、おおよそ腰くらいまでの深さかなという感じ、ちょっと出来過ぎです。下世話な表現ですががスプラッシュ・マウンテン、平らバージョンみたいな。

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 などといきなり逆上して下っていると、ついつい最初の見どころ「鏡の間」というところを見逃してしまいそうだったので、すこしペースを落として、瀞場で休憩してみます。あとから来たカナディアン1艇の、お客1名業者1名が、ちょうど良い案内をしてくれそうなので抜かして先にいってくれないかと待っていたところ、どうもお話の様子から自分が退避していたこの場所が「鏡の間」であることが判明。

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 えぇ。。。たしかに水綺麗だけど、ただの瀞場にしか見えない...。もっと入江みたいになっているところだと思いました。まあでも、もはやGoogle Mapにも載るくらいだし、こう名前をつけるだけで皆様を呼び寄せる効果があるようですし、集客には必要なことなのでしょうね。なにせ石垣島の「青の洞窟」だって、本家イタリアと全く関係ないのに名乗っているだけで、ものすごいツアー業者の収入源になっているようですので。

 とかいいつつ、せっかくなので湧水が湧き出してるところも見てみたい、てへ。とか思って待ってたのですが、なかなか業者のかたがどいてくれないので、諦めて先に進むことにします。一応、離れ際に一瞬、カメラを水中につっこんでシャッター切ったらこんな写真がとれました。たしかに綺麗ですね。

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 相変わらず川は、遅からず早からず快適な速度で流れてきます。ちょっと日が陰ってきてしまいましたが、両岸の雑木の紅葉も美しいです。ただ、野田知佑さんが書かれているような「日本で最も原生の残る川」みたいなのとはちょっと違う気が。なにしろ、近くに「パイロット国道」という幹線道路が走っているので、多少の距離の近く遠くはあれど、だいたい常時トラックの音が聞こえるんですね。たまに道路と並走するところもありますし。正確な建設時期はわかりませんが野田さんが下った頃にはまだこの国道はなかったのかもしれません。逆にまあ、どこで沈しても、エスケープの方向に迷わなくてすむ、というメリットもありそうですけどね。

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 むしろ、原生という意味では鳥の数がすごい。早すぎかつ小さすぎで何の鳥なのかさっぱりわかりませんが、ものすごくたくさんの野鳥がいます。持参のしょぼいコンデジではとても撮れないのが悔しい。あと、それなりに倒木があります。普通の川でいえば「おお」という感じで時には川幅の半分くらいを覆う倒木があったりしますが、ただまあこの区間に関していえば業者のコースになってますので、枝払いしてくれているようで必ず通れる場所が確保してあります。

 ということで、大半の源流部ツアーコースのゴール地点である美登里橋を通過。出発から30分後くらい、11時頃ですかね。ちょうど別の業者さんがゴールするところでした。

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「今日はどちらまで?」
「一応摩周大橋までの予定で。」
「(苦笑)楽しんでください!」

 ちょっと(苦笑)が気になりましたが、気にせず先に進みます。この(苦笑)の意味は、このあとすぐに判明します。
 さっきまではだいたい快適に通れるようになっていた倒木が、この橋を過ぎたあたりから、どうも枝払いの度合いが減ってきてしまうんですね。やはり、業者さんの通過頻度=枝払い頻度になってしまうようで、美登里橋前まではカヌー数艇は通れるようになっているかんじが、このへんではカヌー一艇ぎりぎり、という場所も少なからずな感じになってきました。

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 とはいえ、聞いていたとおり水は下れば下るほど綺麗に!思わず飲みたくなる透明度です。(エキノコックスが怖くなければ、ですが)

 ....でも、実は、正直をいうと、そろそろちょっと飽きてきたりもします。美人は3日で飽きるがブスは3日で慣れる、といいますが、美しい源流部も、同じような景色が1時間も続けば、「ようしようし、もうだいたいわかった、まあこんあもんだな...」とだんだん次の変化を求めるようになってきます。あと、これは私だけの特殊事情だと思いますが、いつも下っている安曇野のコースは、改めて調べてみると8kmくらい。一方本日のコースは、流出口から摩周大橋までなんと16km。わたしの慣れている距離のほぼ倍です。どうにも飽きてくるわけです。

 と、飽きてきた頃にいい感じで美留和の瀬に遭遇。なぜかYAMAPの地図にも載っている名所であります。中流域をポーティング予定の今回としては、最初で最後の瀬、かつ、今回のパックラフトとしても初の瀬。

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 いざいざ!と気合をいれて望みましたが、正直ど直線で波が多少立つだけの瀬で、コケようもありません。なんなく通過です。ということで、その先の美留和橋で12時過ぎになったので、上陸して昼飯休憩です。

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