パックラフトでソロの四万十川

+キックボードで、源流から河口まで辿った2023年秋の記録。

道具の紹介:パックラフト

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 というわけで、釧路川の検索キーワードで飛んできた方には恐縮ですが、しばらく道具のウンチクたれにお付き合いいただきたいと思います。まずはなんといってもこれ。
 
 Klymit LITEWATER DINGHY

www.klymit.com
 そもそもパックラフトって何ね? という初心者のかたにも懇切丁寧に説明を差し上げたいところなのですが、世の中にはググレカスという便利な言葉がございますのでそれをもって挨拶の言葉とさせていただき、ここではまだ国内であまり知名度の高くなさそうなこの製品の紹介に注力させていただきます。
 
 その特徴は、まずなんといっても安い! モンベルの某パックラフトなんかは8万から15万くらいしますが、このLWDはeBayあたりで探せばなんと$100切りのものも。送料込みでも日本円で15,000円くらいでいけそうな感じです。ちなみに私は、為替が乱高下しているときに買わざるを得ない状況だったので、リスクを嫌ってふつーにamazon.co.jp並行輸入品を2万ジャストくらいで購入しました。

 

  で、安かろう悪かろうかというとそうでもないのです。...といいたいところですが、なんといっても一番問題なのはその見かけ。一見どうみてもプールとか海に浮かべるやすっちいゴムボートっぽくて、さらにいうと日本人としてはついついその形状に「♂」マークを連想してしまわざるを得ないのですが(私だけですかね)このあたりは実は考えつくされている形状なのだそうです。
 
 もともとパックラフトが先行して盛んになった、本場米国で既存のパックラフト利用者からいろいろ要望を聞いたところ「価格が高い」「荷物を縛り付ける場所がない」などのほか、いわゆるモンベルで扱っているような一般人が連想するラフティング系の形状だと人が座るところが狭くていまいちだ! みたいな意見も取り入れたので、あのような人が座るところだけ膨らんだような変な形になったのだそうです。さらに、見た目ゴムボート的な形状も、もともとのパックラフトの弱点であるところの、極薄の素材をなるべく使いまわしできるよう、裏表両面つかえる、つまりいざというときには船をひっくり返しても使用可能、という2倍おいしい(?)デザインなのだそうです。

 さらに、付属の空気入れ装置がまた秀逸。言ってみればただの防水袋なのですが、これで結構あっさり空気が入ってしまう上、この袋そのものも防水バッグとして使用可能。インフレータブルなんかではポンプもかさばり、特に運搬時なんかはじゃまでしかたがないですよね。このへんもメカラウロコです。

 そして、ご存知の方はご存知かと思いますが、もともとKlymitという会社はキャンプ用のエアマットで定評のある会社。今回私が入手したLWDという製品も、ありがちなMade in ChinaではなくMade in Taiwanになっていました。実際使用してみても、釧路川源流部の倒木の厳しいあたり「うげっやばっ」といった感じでこすり何度か危険な目にあいましたが、すべて耐えてくれました。まあそこは、パックラフトの素性を鑑みて、本来こする可能性のあるところに使ってはいけないと思いますけどね。かくいう私も、当初は八重山の海でシュノーケリングのお供目的に買ってました。リーフエッジまで子連れで泳いでいくのに、大変心強いパートナーとなりました。
 
 聞くところによれば、米国内の川下りでは、インフレータブル側の場合2気室以上あるものしか使用してはいけない規則などあるらしいです。一方、米国amazonではこのLWDを使ってグランドキャニオンを下り「死にかけたぞ馬鹿野郎」と星1つつけてる人もいましたが、そりゃあんたが悪いよと言ってやりたいところです。
 
 などなど、私があまり参考にならないご紹介を済ませたところで、実際に使用されている動画をご覧いただきたいと思います。この、川下り&トレッキングという新境地! 実はわたしもこの動画にたきつけられて釧路川行きを決心した部分もありました。あと、気温7度で下っているあたりとかも。


Klymit Lite Water Dinghy Field Tests for Trailspace.com

 それから、この製品に限った話ではありませんが、パックラフトではその超軽量という性質から、ふつーのファルトやインフレータブルのつもりで漕いでも、まずその場をクルクル回るだけでまっすぐ進んでくれません。この問題に対し、物理的に論理的な回答を提示してくれているサイトがありました。

DYI Packraft

Tracking, or Directional Stability – DIY Packraft
 
 結論から書くと、船のなるべく先っちょのほうに重いものをつけることと、なるべく手前でパドルを漕ぐ、とのことです。ちなみに、先の動画のひとも、確信犯なのかどうかは不明ですが同様に先っちょにザックを装着していますね。という理解のもとで、これからの記録を見ていただけれと、「なんかいつも船先に邪魔な荷物が写ってるな」などといらない不愉快を覚えることもなく快適に読み進めていただけるかと思います。